Beef CREATOR

2024.01.26
ビーフトレンドジャーナル

ロウリーズ・ザ・プライムリブ|プライムリブの新時代を切り開く、全米初の専門店。革新的なアイデアとサービスを世界中に継承したレストランの魅力に迫る

1938年、ビバリーヒルズのグルメストリートとして名高いラ・シェネガ通りに開業した、「ロウリーズ・ザ・プライムリブ」。ローレンス・L・フランクとウォルター・ヴァン・デ・カンプの二人によって、全米初のプライムリブ専門店としてスタートした。ロウリーズでは、ローレンス氏が幼少時に体験したイギリスの伝統的なローストビーフを、革新的なアイデアとサービスでプライムリブとして提供している。

現在では創業の地アメリカをはじめ、シンガポール、タイペイ、ホンコン、ソウルに1店舗ずつ、日本では赤坂、恵比寿、大阪の3店を構えるほど、瞬く間に世界中で人気店へと昇り詰めた。

看板メニューは、ロウリーズのシグネチャーメニュー、スピニング・ボウル・サラダとプライムリブが堪能できる「ロウリーズ クラシック プライム ディナー」。

創業者であるローレンス氏が17種類のスパイスとハーブを調合して作ったオリジナル調味料「ロウリーズ・シーズンド・ソルト」と塩でマリネをし、2~3日寝かせる。その後、コンベクションオーブンで3時間かけてじっくりと焼き上げることで、柔らかく甘味のある赤身肉のジューシーな旨味に仕上がる。「ロウリーズ・シーズンド・ソルト」は、創業当時、風味の素晴らしさに感動したお客様が、おもわずレストランのテーブルから持ち帰ってしまうという出来事が続出したそうだ。

焼き上げたお肉は塊のまま、シルバーカートでテーブルまで運び、その場でお客様の好みを伺い、焼き具合とサイズに合わせてロウリーズが認定したカーバーによって切り分けてサーブされる。

ホースラディッシュをすりおろしてホイップドクリームと和えた「オリジナル・ホイップドクリーム・ホースラディッシュ」と召し上がることで、プライムリブをより美味しく味わうことができる。

ブラックアンガスビーフのリブアイを使用した「リブアイステーキ」も人気の一品だ。表面はカリッと香ばしく焼き上げ、中はしっとりとジューシーに仕上げるために、900度近くまで上がる米国産のステーキ専用ブロイラーを使用。その本格的なアメリカンステーキの風味はまさに絶品。ロウリーズでは、骨付きリブロースの中でもサーロインに近い部位を厳選して使用している。

この部位は肉質がやわらかく、赤身と脂身のバランスが良いため、ステーキの調理に最も適しているのだ。この部位を常時提供できるのは、プライムリブ専門店であるロウリーズだけと言っても過言ではない。素材から調理器具に至るまでこだわったロウリーズのステーキは、シンプルに塩のみで味付けをした、他では味わえない極上の一品だ。

世界中で継承されている、ロウリーズ・ザ・プライムリブの“初めて”

Prime Rib

当時、単一料理に特化した専門店が存在しない中、アメリカで初めてのプライムリブ専門店としてスタートした。現在はプライムリブ以外にシーフード料理やステーキも加わり、幅広い美味しさを堪能することができる。

Doggy Bag

家で待つ愛犬に、プライムリブの残りを持ち帰れるようにと、持ち帰り用袋を用意した。のちに“ドギーバッグ”と呼ばれ、今では多くのレストランで採用されている。

Valet Parking

お客様が駐車スペースを探す手間を省くため、アメリカで最初にバレットパーキングのサービスを導入した。

Silver Carts

ローレンスがデザインした銀色に輝くシルバーカート。カービングしたてのジューシーなプライムリブを提供するため開発された。現在使用しているシルバーカートは、80年前と変わらぬ設計で、1台目は今でもビバリーヒルズ店で稼働している。

Original Spinning Bowl Salad

従来、サラダはメインディッシュの付け合わせだったが、ロウリーズでは前菜としてメインディッシュの前に提供し始めた。以来グリーンサラダをメインディッシュの前に提供するレストランが増え続けた。

今回は、「ロウリーズ・ザ・プライムリブ」が全世界で支持され続ける秘訣について、ロウリーズ・ザ・プライムリブ 統括料理長 中村 文彦氏に話を伺った。

伝統と革新を織り交ぜた成功の秘訣

Q.1938年に創業以来、瞬く間に世界中で人気店へと上り詰め、支持され続けている「ロウリーズ・ザ・プライムリブ」ですが、成功のポイントはどこにあるのでしょうか?

A.ロウリーズとして創業以来、創業家や多くのスタッフたちが紡いできた歴史を大切にしています。
ロウリーズはいつもおなかと心を満たしてくれる、昔ながらのアメリカンダイニング。その伝統を一番に大切にして次の世代にバトンを渡していくことを念頭においています。時代が変化していく中でも、ロウリーズとして守るべきこと、時代に合わせて変えるべきことを分けてブランドを進化させています。

Q.なぜそのような方針・お考えに至ったのですか?

A.私たちが日本でロウリーズを開業する時にビバリーヒルズの雰囲気をぜひ日本の皆さまに感じて欲しいと考えていました。そのためには創業家の考えを理解することが重要なポイントでした。まずは創業者であるローレンス・L・フランクがどんな想いで創業し、後継者たちが何を大切にしてきたのかを学びました。そして、その想いを継承し、さらに磨き続け、ロウリーズの素晴らしさをゲストに感じてもらうことが私たちの役割だと思っています。

Q.ご来店されるお客様の層や、利用シーン、お客様からのお声についてお聞かせください。

A.お客様の層はファミリー、カップル、同僚、ビジネスなど多岐に渡ります。利用シーンはお祝いごと、接待など特別な時にご利用いただくことが多い印象です。ラグジュアリーな雰囲気を感じられる広い店内は、様々なシーンで利用ができると、お客様からもお声を頂戴しています。料理を提供する際にパフォーマンスを行うことで、食事はもちろん、視覚的にも楽しんでいただけます。このようなサービスが、お客様に他の方をお誘いいただく動機になっていると思います。

時代の流れに対応した変化、ロウリーズの新時代

Q.現在に至るまでの、ご苦労や失敗談、エピソードについてお聞かせください。

A.開業当初の苦労はアメリカのメニューをそのまま持ってきたことでした。やはりボリュームやサラダとお肉のシンプルなメニューが日本の方に受け入れられるのに5年ぐらいかかりました。またBSE問題も大打撃を受けました。アメリカ産牛肉の使用が制限されたことで客数は激減。オージービーフに切り替えたり、他のメインメニューを導入したりしてアメリカ産牛肉の復活を待ちました。最近だとコロナです。お客様が来店したくてもできない状況が3年間続きました。お店が大きい分集客できないことは経営として難しい状況でした。

Q.どのように課題を突破されたのですか?

A.メニューに関しては日本のお客様のニーズに合わせることから始めました。そこで誕生したのが日本限定カット「トーキョーカット120g」です。アメリカより小さなサイズをご提案することで日本のお客様でも食べやすいメニューを導入しました。ランチビュッフェに関しても同様です。日本のお客様がどのようにロウリーズを楽しめるかを追求しました。
コロナ禍ではテイクアウト事業です。来店できないのであればお家でロウリーズを楽しんでもらえるようにレストランと変わらぬメニューを提案しました。母の日には1日200万円という売上を作ることができました。
これもロウリーズとして守るべきことを守り、時代に対応したことが結果に繋がったと思っています。

〜今後の展望〜

Q.今後の展望や目標についてお聞かせください。

A.2024年4月から今までのプライムリブ専門店から、すべての世代が楽しめる「プライムリブが自慢のアメリカンダイニング」に切り替えを考えています。お客様のニーズが多様化している今の時代に一つの料理だけで勝負するのではなく、更に様々な利用動機に対応できるように進化させていきたいと考えています。それは、今まで23年間で築き上げてきたお客様、新たに来店されたお客様がアメリカの雰囲気を楽しんでもらえるような内容をイメージしています。日本にはステーキハウスは増えましたが、まだまだ本格的なアメリカンダイニングは少ないと思います。ロウリーズの伝統を守りながらフラッグシップのレストランとして盛業することが今後の目標です。

ロウリーズ・ザ・プライムリブ

公式HP:https://lawrys.jp/

文章/渡辺恵伶奈(Beef CREATOR 編集部) 取材/狭川元秀(Beef CREATOR 編集部)構成/毛利努(MORRIS STRATEGY & DESIGN CONSULTS,LLC.