シズラー|四季の旬なサラダと厳選グリル料理の両軸で世代を越える顧客基盤を獲得、老舗アメリカンレストランの秘訣とは?
1958年にアメリカ・カリフォルニアで誕生した、サラダバー&グリルレストラン「Sizzler(シズラー)」。店名の「シズラー」は、“じゅうじゅう”という音、Sizzle(シズル)から名付けられ、ステーキハウスとしてスタートした。
「手作りと出来たてのおいしさでお客様をおもてなししたい」という創業者夫妻の思いを引き継ぎ、こだわりの食材を使用したメニューを提供。現在では、アメリカをはじめ日本、タイと3カ国で展開している。
日本国内では、1991年に1号店をオープン。生産者から直接仕入れた新鮮野菜と厳選素材を使用したグリルメニューで人気を集め、今では東京に10店舗。以来、シズル感のあるおいしさとフレンドリーなサービスをお届けし、多くのお客様からの支持を得ている。
選り抜きの素材を使用したグリル料理はステーキのほか、チキンやラム、シーフードなどバラエティ豊かなラインナップ。
直火で余分な油を落として焼き上げ、素材本来の味を活かした、シンプルな調理でヘルシーに仕上げている。
シズラーで多くの利用者が注文する「シズラープレミアムサラダバー」では、フレッシュなサラダをはじめスープやパスタ、タコス、デザート、フルーツ、ドリンク、などバリエーション豊かなラインナップが約70種類用意されている。
中でもサラダには大きなこだわりがあり、季節ごとにフレッシュな旬の野菜を生産者から仕入れ、素材本来の美味しさを生かしたシンプルな調理で提供。公式HPには各野菜の原産地が細かく記載されており、安全で新鮮な食材の提供を追求している。
また、50年以上受け継がれてきたシズラーの「チーズトースト」も高い人気を博している。パルメジャンチーズの旨みと、こんがりと黄金色に焼き上げたクリスピーな食感がたまらないチーズトーストから楽しむのが、シズラー流の食事のはじめ方なのだ。
今回は、シズラーの人気の秘訣について、ロイヤルフードサービス株式会社 営業企画推進本部 営業企画部長 門田 英樹氏に話を伺った。
お客様の声を真摯に受け止める、シズラーのサービス精神
Q.アメリカ・カリフォルニア発祥のシズラーが、日本国内でも支持されるポイントはどこにあるのでしょうか?
A.バラエティ豊かで旬を感じられる食材を取り揃え、家庭では味わえないひと手間を加えたサラダとグリル料理に、価値を感じてくださりご支持をいただいていると思っております。これからもお客様のニーズに広く且つ奥深く応えていくことが大切であると感じます。
Q.なぜそのような方針・お考えに至ったのですか?
A.シズラーではお食事の最後に「コメントドイリー」というカードをお渡しし、お客様にお食事の感想等をご記入いただいており、実際前述のようなコメントを多くお寄せいただいております。日々寄せられるお客様の声には責任者が必ず目を通し、各種施策等に反映させていただくことも多くございます。
Q.ご来店されるお客様の層や、利用シーン、お客様からのお声についてお聞かせください。
A.おひとりさまからファミリー、大人数のグループなど、お子様からシニアまで幅広いお客様にご来店いただいています。一般的な飲食店同様に、平日は女性グループ、土日はファミリーが増える傾向がございます。
利用シーンも様々ですが、土日にはお誕生日や記念日などのハレの日としてのご利用が多く見受けられる一方で、平日は野菜不足を解消する目的でご来店される方も多くいらっしゃいます。
環境課題に配慮しつつ、地域に根差した店舗展開を目指す
Q.現在に至るまでの、ご苦労や失敗談、エピソードについてお聞かせください。
A.1991年シズラーが日本に上陸した当初は、ビッグスケールのサラダバー、食べ応えのある本場アメリカの調理法や味付けを忠実に再現したグリル料理などで、アメリカンスタイルのレストランとして注目を集めました。サラダバーの食材も、生のカリフラワーやパルミット(ヤシの芽)など現地のシズラーをそのまま再現していましたが、日本人には受け入れられ難い食材も多く、またグリル料理がハイボリュームだったことも重なり、食べ残しも多かったと聞いております。
Q.どのように課題を突破されたのですか?
A.シズラーらしいアメリカンスタイルの調理法は大切にしながらも、2005年頃からの日本の豊かな四季の恵みを活かしたメニュー開発に挑戦したことが突破口となったと感じています。グリル素材は、みつせ鶏ややまと豚、真鯛等国産素材を導入したほか、牛肉やラムもチルド・ブロックでの仕入れに切り替えました。また野菜についても同年より、生産者や青果業者の方々にご協力をいただき、原産地表示の開示をするなどの取り組みも進めてまいりました。
〜今後の展望〜
Q.今後の展望や目標についてお聞かせください。
A.健康ニーズや食の安全への期待が高まり、昨今の社会環境課題への取り組みも求められていることから、サラダバーで提供する野菜は生産者の顔が見えるものや減農薬や有機、少々形が不揃いで量販店には並べないものも取り入れ、日本の豊かな四季が育む鮮度高い旬の野菜で、野菜本来の美味しさを豊かなサラダバーで表現したいと考えています。
グリル料理は、牛肉・豚肉・鶏肉・羊肉の4種類のミートと、海老・ホタテ・ロブスター・エゾアワビ・サーモンの5種のシーフードを提供しています。ビッグプラッターでサーフ&ターフとして数名でシェアして召し上がるスタイルが定着してきております。
グリル商品の焼き方はチャーブロイラー専用バーナーの鋳鉄製ラジアントで高温に加熱し、輻射熱で焼成することで余分な油脂分を落とし表面はパリッと香ばしく中はジューシーに焼き上げるこだわりを持っています。以前より1インチの厚さのステーキをグランドメニューで提供していますが、季節のキャンペーンでTボーン・ポーターハウス・トマホーク等、より本格的なアメリカンステーキに挑戦しており、フェアで好評を得たものは積極的にいつでも提供できるようグランドメニュー化を進めております。
今後も厳選した素材のサラダバーと高付加価値のグリル料理をカジュアルな雰囲気で楽しんで頂けるミドルサイズチェーンレストランとして、その地域で愛され地域に根差した店舗展開をしていきたい思いです。
シズラー
文章/渡辺恵伶奈(Beef CREATOR 編集部) 取材/狭川元秀(Beef CREATOR 編集部)構成/毛利努(MORRIS STRATEGY & DESIGN CONSULTS,LLC.)