Beef CREATOR

2024.06.19
ビーフトレンドジャーナル

ゴーバル|時代の変化と共に成長を続ける、素材を活かした多彩な調理法が魅力のビストロ料理店の秘訣に迫る

「街にちょっといいねを届ける、肉料理とワインを楽しむネオビストロ」をテーマに、炭火の力を存分に活かしたビストロ料理が堪能できる「ゴーバル」。炉ばた焼きを代表に、日本人に深く馴染みのある「炭火焼き」をメインに据え、高級ホテルや一流レストランで経験を積んだ料理人秘伝のレシピを駆使し、こだわりのお肉や農園直送の新鮮な野菜を多彩なアプローチで提供している。

水蒸気を燃やして火を起こすガスとは異なり、炭素を燃やした「熱」で焼くため、表面はパリッと、中はジューシーに、旨みがギュッと閉じ込めた仕上がりになる。炭火で調理することで、素材の持ち味を最大限に引き出すことができるのだ。その上、炭の煙で燻された食材が独特の香り(香燻)を纏い、お酒との相性も抜群。

牛ランプ肉や牛ハツ、黒毛和牛の炭火焼きなど、牛肉を使用したメニューをはじめ、ソーセージやつくね、野菜などの炭火焼き料理を楽しむことができる。

牛肉は、未経産牛をメインに仕入れ、豚肉や鶏肉だけでなく、ビストロには不可欠な羊肉や鴨肉も、厳選された仕入れルートで取り揃えている。

炭火焼き料理以外にも、名物のビストロ餃子、生ハムの切り落としやチーズ、カプレーゼ等の小皿料理や、

霜降り牛の炙りカルパッチョ、牛すじのスパイシー煮込み、アヒージョなどの冷温菜、〆料理など、バラエティ豊かなビストロ料理を堪能できるのも魅力的だ。

同店では、肉だけでなく、野菜やチーズにも強いこだわりを持っており、野菜は、毎日静岡県富士宮市の「馬場修一郎農園」から直送される新鮮なものを中心に取り入れ、チーズに関しても世界中で厳選されたチーズを、国内で再熟成した特別な品質のものを使用している。

また、厳選された食材に合わせるワインの種類も抜群だ。ソムリエが丹念にセレクトしつつも、普段着で楽しめるカジュアルなものを中心に、赤・白・オレンジ・ロゼを用意。

ワインの“とっつきにくいイメージ”を変えたいという思いから、いろいろな国の種類豊富なワインを、日常でも手の届く、カジュアルな価格で取り揃えている。

今回は、「ゴーバル」の人気の秘訣について、株式会社バルカンパニー マネージャー兼統括料理長 山崎 昇氏に話を伺った。

一人一人のアイデアを活かし文化を形成、成長し続けるネオビストロ

Q.炭火の力を存分に活かしたビストロ料理が堪能できるゴーバルですが、成功のポイントはどこにあるのでしょうか?

A.私たちは、地元のお客様に愛され、支持していただけるようなお店を目指しており、スタッフ全員が日々、「ちょっといいね」と思ってもらえるようなサービスを考え、提供し続けています。料理の構成から仕込みまで、一つのメニューに対して多大な時間をかけて考え、ワインの説明やメニュー表記にも工夫を凝らし、楽しさと記憶に残る体験を提供することを心がけております。
創業時からの進化と成長を続け、一人一人のアイディアや得意分野を活かしてお店の文化を形成しており、美味しいお店は他にもたくさんありますが、私たちは「発見」や「楽しい」体験を提供することを優先し、それをメニューに反映しています。

Q.なぜそのような方針・お考えに至ったのですか?

A.私たちの店舗と企業の特性は「学習」であり、常に成長を続けています。なぜなら、私たちが愛する外食産業を発展させ、変革するためには、私たち一人一人が学び、変わらなければならないと考えているからです。時代とともに流行は変わりますが、私たちはその変化に適応し、お客様に提供できること、お客様が喜んでいただけることを変えていく必要があります。成功しない試みも多々ありましたが、それでも根気強く続け、その結果が今に繋がっていると思います。

Q.ご来店されるお客様の層や、利用シーン、お客様からのお声についてお聞かせください。

A.お客様のうち6割が女性です。私たちの店舗は、オフィスや住宅が混在するエリアに位置しており、そのため、平日と週末での来店シーンが異なります。女性のお客様が多いため、口コミでのご来店が多く、ご紹介やリピーターの方も多くいらっしゃいます。

日々の「ちょっといいね」を提供し、外食産業の発展に貢献

Q.現在に至るまでの、ご苦労や失敗談、エピソードについてお聞かせください。

A.10年前の創業当時、私たちは肉バルブームの直前に事業を始めました。美味しいお肉を提供するというコンセプトで、和牛の塊肉に焦点を当て、ブランドを立ち上げましたが、仕入れにこだわったことで、原価割れの問題に直面しました。日々の「ちょっといいね」を提供できるよう目指していたのですが、その過程は容易ではありませんでした。また、肉に特化しすぎたことで、利用シーンが限られるという課題もありました。

Q.どのように課題を突破されたのですか?

A.自分たちのテーマを改めて見直し、「ちょっといいね」とは何かを再考しました。料理だけでなく、サービスや空間も含め、お客様に選んでいただき、再び訪れたいと思っていただけるお店とは何か。全スタッフでペルソナやシミュレーションを通じて、お店を覚えていただけるポイントや「心配り・目配り・気配り」などの重要なポイントを見直しました。また、私たちは「お食事ストーリー」という、お客様の年齢や利用シーンに合わせたおすすめメニューをご用意しております。料理だけでなく、事前にテーマを作り準備することで、お客様に喜んでいただけることが増えました。

〜今後の展望〜

Q.今後の展望や目標についてお聞かせください。

A.今後の主な目標は、他の複数ブランドの展開と人材育成です。時代は常に変化していますので、私たちも絶えず学び、成長し続けることで、外食産業の発展に貢献したいと考えています。お客様が楽しんでいただけるお店作りと、従業員が働くのを楽しめる環境づくりを目指して前進していきます。

ゴーバル

公式HP:https://5-bar.com/

文章/渡辺恵伶奈(Beef CREATOR 編集部) 取材/狭川元秀(Beef CREATOR 編集部)構成/毛利努(MORRIS STRATEGY & DESIGN CONSULTS,LLC.