Beef CREATOR

2024.01.31
ビーフトレンドジャーナル

ジャッキー ステーキハウス|創業から約70年、唯一無二の変わらぬ味で魅了する、沖縄の誇る老舗ステーキ店に迫る

創業から約70年の歴史を持つ、沖縄県那覇市にある老舗ステーキハウス「ジャッキー ステーキハウス」。1953年にオープンして以来、リーズナブルな価格とボリュームたっぷりのアメリカンスタイルのステーキで地元客や観光客を魅了してきた。

戦後間もない1953年にオープンしたジャッキー ステーキハウスは、アメリカ統治下にあった沖縄に急速に流れ込んだアメリカ文化の中で生まれ、Aサイン認定のお店として多くの米兵や地元の人々に愛され続けてきた。老舗をうたう多くの店が高級化へ走る中、ジャッキーは今なお、気軽に入れる、安くて美味しいボリュームたっぷりのステーキハウスとして老若男女問わず、多くの人々から支持され続けている。

一番人気のメニューは「テンダーロインステーキ」。スープとサラダに、ライスもしくはパンがセットでついており、Sサイズ3,000円(税込)からサイズを選ぶことができる。熱々の鉄板にのせられてステーキが運ばれてくると、その香ばしい香りが食欲をそそる。程よい歯応えで、食べ応えがありながら、ジューシーな味わいで肉好きには堪らない一品だ。

ジャッキーのステーキは、お肉の味を引き出すために、あえて味付けを控えている。赤身肉の豊かな旨みがギュッと詰まっているので、お肉の本来の味わいをそのまま堪能したり、お好みのソースでアレンジしたりすることができる。

ステーキメニュー以外にも、沖縄料理のタコライスや、ハンバーガーサンド、スパゲティー、スキヤキ、カレーなど、バラエティ豊かなメニューが揃っている。

一軒家のレトロな外観が特徴のジャッキー ステーキハウス。入り口にはジャッキーの名物でもある信号機が設置されており、店内の混雑状況を確認することができる。

店内は温もりに満ちたアメリカンな装いで、親しみやすいアットホームな雰囲気。お客様の心をつかんで離さない、居心地の良いジャッキーならではの雰囲気も、多くの人々に長年愛され続ける理由なのかもしれない。

今回は、「ジャッキー ステーキハウス」の人気の秘訣について、ジャッキー ステーキハウス ご担当者 長田氏に話を伺った。

お客様心を掴む、ジャッキー独自の不思議な魅力

Q.沖縄を代表する人気ステーキ店として話題ですが、老若男女問わず多くの方々に愛され続けるポイントはどこにあるのでしょうか?

A.私たちも知りたいくらいですが、いつ来ても変わらない品質であると同時に、ここでしか食べられない唯一無二の味と思っていただけているのは大きいと思います。
年末年始もたくさんのお客様が長時間(最長120分)待ってくださり、「並んだ甲斐があった」「待った価値があった」などと、嬉しいお声をいただけました。

意識していることですと、リーズナブルで食べやすい価格での提供と、アットホームな雰囲気を保ちながら、気配りの利いた接客を心がけております。

Q.なぜそのような方針・お考えに至ったのですか?

A.それが当たり前だと思っていましたので、なぜそうするのかと問われると答えるのが難しいのですが、私たちの先々代から受け継いだ考え方は、質の良いお肉をできるだけ安く提供することです。
常にお客様の要望に可能な限り応え、喜んでいただくことを心がけています。「美味しかった、また来るよ」と言っていただくために、何をすべきかを常に考える。メニューに記載している「Your satisfaction here is JACK’S happiness, so tell JACK, JOTO or NO JOTO.」という言葉も昔から引き継がれており、これは、私たちのサービスがお客様の満足を追求し、その満足が私たちの幸せであるという思いを表しています。

私が心に留めている経営理念は、「経営は誠意、接客は誠実、料理は優しさ」です。この理念は、幼い頃から店を手伝ってきた経験から生まれました。

Q.ご来店されるお客様の層や、利用シーン、お客様からのお声についてお聞かせください。

A.このお店は、本当に不思議な魅力があります。
県外で働いた経験もあり、いくつかのお店を見てきましたが、このお店ほど多様なお客様に愛され、いろいろな使われ方をするお店は見たことがありません。一般的には、ターゲット層を特定し、その層に合わせた戦略を考えるものですが、当店にはそういったものが存在しません。
小さい子供からお年寄りまで、作業着を着た方もいればスーツ姿の方、ハレの日に使われる方もいますし、日常から特別な日、関係なく使っていただけるお店であると思います。

未来への挑戦、創業100年を目指し歴史を刻む

Q.現在に至るまでの、ご苦労や失敗談、エピソードについてお聞かせください。

A.衛生面など厳しい審査に合格した店のみに発行されるAサインの認定を継続させるためには、検査が抜き打ちで入る可能性があるため、常に厳しいルールを守らなければならないことが困難だったと聞いています。米軍風紀取締委員会による衛生基準を満たすため、店内の清潔さを保つ努力をし、洗剤の入った熱湯でお皿を手洗いする作業は大変でしたが、それに対応するために自前で食器洗浄機を作ったそうです。また、急にルールが変更され、コンクリート造りが求められた際には、一晩で木造建ての外側をコンクリートで囲い、見かけ上はコンクリート造りに仕立て上げるなど工夫を施したと聞いています。

Q.どのように課題を突破されたのですか?

A.お客様が応援し続けてくださったことが大きな理由かと思います。
コロナなどの危機があっても、ジャッキーのお客様が減っているという情報を聞きつけ、たくさんのお客様から応援や、励ましのお言葉をいただきました。

〜今後の展望〜

Q.今後の展望や目標についてお聞かせください。

A.私たちの目標は、沖縄で最も働きやすい会社になることです。スタッフは皆、ジャッキーへの愛情が深く、それが接客や料理に反映されていると思います。この愛情を大切にし、スタッフが誇りを持って働ける環境を提供したいと考えています。物価の上昇にも柔軟に対応し、価格を上げずにスタッフの給与をしっかりと上げていけるよう経営努力を続け、お客様とスタッフの双方が満足できるように、日々努力してまいります。そして、創業100年を目指して歴史を築いていきたいです。

ジャッキー ステーキハウス

公式HP:https://steak.co.jp/

文章/渡辺恵伶奈(Beef CREATOR 編集部) 取材/狭川元秀(Beef CREATOR 編集部)構成/毛利努(MORRIS STRATEGY & DESIGN CONSULTS,LLC.